2025年新春企画
市民のひろばサポーターが
下鶴市長に聞きました
市民のひろばサポーターの皆さんが、興味を持っているテーマを中心に、2期目の市政運営の展望や今年の抱負などについて、下鶴市長にインタビューしました
仙巌園駅の開業を機に、磯エリア全体を、冬の時季も含め、年間を通じて海辺を楽しめる場所にしていきたいと思っています。磯エリアの大きな魅力は、桜島の雄大さをどーんと味わえるところです。近いから迫力が違います。1回見て“よかった”で終わるのではなく、“楽しかった!”という思い出となってリピーターの旅行者を生むような、海辺の魅力を生かした体験型観光の仕掛けを、しっかりつくっていきたいです。
海辺の磯エリアで冬でも楽しめるというのは、例えばどんな展開をお考えですか?
海沿いのカフェなどから錦江湾越しの桜島を眺めるのも、とても素晴らしい体験だと思います。また、体験型観光で食は大事です。桜島特産の小ミカンや桜島大根は冬が旬なので、これらもアピールしながら冬の磯エリアのにぎわいにつなげ、市民の皆さんにもぜひ楽しんでいただきたいです。
魚類市場に取材に行って、多彩な食の恵みをもたらしてくれる海と鹿児島の近さを実感しました。豊かな自然が育む鹿児島の食の魅力について、どう思われていますか?
何といっても、食材が豊富で、地元産だから新鮮ということですね。若いときは帰省すれば必ず、キビナゴの刺し身と鳥刺しを食べていました。東京ではほとんど食べられない。鹿児島に来たお客さんには、この2つを必ずお出ししています。
また、錦江湾では、市街地から船を出してすぐに釣りを楽しめるし、釣果を料理してくれるお店もある。本市ならではの海と食の楽しみ方があります。
食や自然など、豊富な体験型観光の素材は、本市の魅力として生かしていきたいですね。
私は小学生の子どもの子育て真っ最中です。子育て世帯や子どもたちの未来のために、どのような取り組みを進めていかれますか。
「子育てするなら鹿児島市」と、子育て世帯に「選ばれるまち」をつくっていきたいです。そのためには、①働く場と稼げる仕事、②子育て・教育環境の充実、③ワクワクするエンターテイメントの3つの要素が重要だと考えています。
なかでも、若い世代の人に「鹿児島市だと、将来子どもたちに多くのチャンスが与えられるよね」と選択していただけるよう、子育て・教育環境の充実にさらに取り組んでいきたい。1人1台タブレット端末やデジタル教材の活用を進めながら、生まれ育った環境に関わらず、子どもたち一人ひとりが、それぞれに合った教育を受けられる環境、チャンスを得られる環境をつくっていきたいですね。
鹿児島市は、進学や就職で都会へ出る人が多く、私の子どももそうなるかもしれません。地元に帰ろうと思ってもらうためには、何が大事だと思われますか。
私が大学生の頃は就職氷河期で、鹿児島に帰りたくても就職先がないという声をよく聞きました。その当時に「若者が帰ってこれる鹿児島をつくりたい」と思ったのが、その後27歳で地元に帰ってくることになる最初のきっかけでした。
自分の体験からも、都会に出た方は、30歳前後で鹿児島に帰るかどうかの分かれ道がくると思っています。そのときに「選ばれるまち」になるためにも、先ほどお話しした3つの要素について、重点的に取り組んで、充実させていきたいと考えています。
私は今年で70歳です。2025年には人口の大きな割合を占める団塊の世代が後期高齢者となる中、これから高齢者が生き生きと暮らしていくために、どんな取り組みが必要だと思われますか。
高齢者の皆さんが住み慣れた場所で、いつまでも自分らしく心豊かに暮らせるまちづくりはとても大切です。まず、元気な活躍を後押しする病気の予防や健康づくり、生きがいづくりに取り組んでいく必要があります。
そしてもう1つ重要なのが、認知症対策です。早期発見・早期対応はもちろん、認知症の人の家族も含めて支える仕組みをつくっていきたいです。
私の祖母が認知症になったとき、最初は、物忘れをしたら優しく教えてあげればいいんだと軽く考えていましたが、そうではなかったんです。認知症になると、性格まで変わってしまうこともあるのですね。そんな祖母に優しくしたくてもそうできず、自分を責めてしまう家族の辛さを痛感しました。
認知症は、本人だけでなく家族を含めて守る仕組みが必要です。また、サービスが必要な高齢者の方の数は増えていく一方で、それを支える現役世代は減っていくので、サービスの提供の仕組みを変えていかなければいけません。デジタルの力も活用しながら、高齢者の皆さんにしっかりとした質のサービスを提供できる仕組みをつくっていくことが、本当に大事だと思っています。
公共交通機関の便数が少なくなり、高齢者が病院や買い物に行く手段がなく困っているという話をよく耳にします。デジタルを活用した新しい交通手段も実験されましたが、公共交通の課題はどのようにお考えですか。
チョイソコかごしま(実証実験)
課題の根源には、深刻な運転者の人材不足があり、就職奨励金などで人材確保の支援に取り組んでいます。
さらに、少ない担い手で交通サービスを維持する仕組みづくりも重要です。今年度、民間事業者さんと連携して、乗合送迎サービスの実証実験をAI(人工知能)を活用して行いました(「チョイソコかごしま」)。路線バスについては、乗り降りのデータを分析し、利用者の希望に一番かなったルートづくりなどを進めていて、乗り換え地点では買い物や交流ができるようにすることも検討していきます。今後も、交通手段の確保に向け、デジタルの力も積極的に活用していきたいです。
高齢者などでパソコンやスマホなどのデジタル機器になかなか馴染みがない人も、デジタル化の恩恵をさらに受けられるようになったらいいですね。
高齢者向けのデジタル講習会などのサポートをさらに推進したいですね。お孫さんの写真をいつでも見られるなど、目的に応じてデジタルと楽しく付き合っていただけると思います。また、地域の中で、デジタルに詳しい人に先生となっていただく仕組みづくりも進めていきたいと考えています。
本市では、さまざまな手続きをインターネット上でできる取り組みを進めて、「行かなくていい市役所」の実現を目指しています。併せて、職員の現在の業務も効率化させて、市民生活や地域がより便利で快適になるように、デジタル化などの取り組みをさらに進めていきたいですね。
デジタル講習会
市公式アプリ
今、SNSを中心に鹿児島市の魅力を発信しています。特にグルメや観光スポットなど、国内外の人に伝えきれていない鹿児島ならではの良さがたくさんあるので、それらを、もっともっと広めていきたいです。
鹿児島市に引っ越してきて間もなくて、知らないところがまだまだたくさんあります。子どもと一緒に探検して、ワクワクする鹿児島市をどんどん発見する年にしたいです。
当面の目標は、今回が6回目の挑戦となる3月2日の鹿児島マラソン完走です。また、70歳という節目の年齢となるので、これまでの経験や自分が持つさまざまな知見を生かして、地域や社会に貢献していきたいです。
私は2期目の任期のスタートを切り、これから、人口減少時代を乗り越え、次の世代に豊かな鹿児島市を引き継ぐために、最も重要な4年間が始まります。
多彩な魅力をさらに磨き上げて効果的に発信し、また、ICT(情報通信技術)を活用してこれまでの仕組みを変えていくことで、すべての人たちに“住みたい、訪れたい”と感じていただける、時代に、未来に「選ばれるまち」の実現に向けて全力を尽くしてまいります。
市民の皆さんや本市に思いを寄せてくださる多くの方々と一緒になって、前進していきたいと思います。
異人館などの「明治日本の産業革命遺産」が、今年で世界文化遺産登録10周年を迎え、3月にはJRの仙巌園駅の開業も予定されています。これらをきっかけに、鹿児島市の観光をどのように発展させていきたいとお考えですか。