現在の桜島の状況は?
現在、桜島にマグマを供給している姶良カルデラ下のマグマの蓄積量は、111年前の大正噴火が起こる前のレベルに戻っていると推定されています。これは次の大規模噴火への警戒が必要な時期にきているということを示しています。
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桜島の大規模噴火時に市民の避難につながる研究など、火山防災トップシティのさらなる推進を図る「桜島火山防災研究所」が4月1日に発足しました。基礎自治体(市町村や特別区)として全国初の取り組みです。
同研究所の井口正人所長に、桜島の現状やこれから進める研究などについて聞きました。
井口所長は、昨年の3月まで、京都大学の観測所で桜島の研究を長年続けてきた火山学者です。昨年6月から本市の火山防災専門官、今年4月から桜島火山防災研究所長に就任しました。
現在、桜島にマグマを供給している姶良カルデラ下のマグマの蓄積量は、111年前の大正噴火が起こる前のレベルに戻っていると推定されています。これは次の大規模噴火への警戒が必要な時期にきているということを示しています。
大規模噴火が起こると、桜島島内だけでなく市街地側でも、大量の軽石・火山灰により、次のようなさまざまな災害が発生することが予想されます。
◇堆積した軽石で家屋が埋まり、玄関の扉が開かなくなる
◇軽石が厚く積もると自動車の走行や歩行が非常に困難になる
◇積もった火山灰や軽石が、土石流や水害の原因になる
◇停電や断水など、ライフラインが機能不全となる
大規模噴火は以下のような仕組みで発生すると考えられており、この過程で体に感じる地震が頻発したり、地盤変動が生じたりすることから、これらを検知することで、事前に察知することができます。
①マグマの供給量が増加し、桜島の下に多量のマグマが蓄積
⇒山体の隆起・膨張
② 山腹に移動するマグマの通り道を作るために岩盤が破壊される
⇒地震が頻発
※火山ガスや温度上昇により、さまざまな現象も発生する
③桜島の山腹から大規模噴火が起きる
火山活動を監視するために掘られた坑道で、地盤変動を検知します
大規模噴火の発生後は避難が難しくなります。そのため、噴火の前に広域避難(市町村の区域を越えての避難)を行えるよう、さまざまな角度から研究を積み重ねていく必要があります
次の3つの研究を進めます。
市民の皆さんに避難指示を発令するためには、風向き次第でどこに、どれくらいの厚さの軽石・火山灰が積もるかについて情報が必要です。そのための予測研究を行います。
他の市町へ避難が必要なときもあるため、長距離移動を短時間で行うことができるよう避難の効率化の研究を行います。
より多くの皆さんに、大量の軽石・火山灰の堆積が引き起こす災害の脅威と避難の必要性を知ってもらうための研究を行います。