学芸員がオススメする美術館の逸品を紹介します。
学芸員オススメ! No.106市立美術館の逸品
【市立美術館】 電話番号:099-224-3400
ファクス:099-224-3409
松は一年を通して緑の葉を茂らせることから長寿の象徴とされ、古くから縁起の良い樹木として親しまれてきました。そのため、日本画ではよく描かれていますが、本作には松ぼっくりも描かれていることから、子孫繁栄への願いも込められています。
しかし、本作の魅力は縁起の良さだけではありません。上部の幹や枝葉は、しっとりとした色合いの墨ではっきりと描かれていますが、下に向かうにつれて墨が薄くなり、余白も広がることで、静かな時の流れを感じさせます。
日本画では、目に見える形をそのまま描くだけでなく、そのものの意味や作者の精神性を表現することも大切にされてきました。本作からは、月日を重ねた人生の重みや深い思いを感じ取ることができます。
作者の平山東岳は、幕末から明治にかけて活躍した鹿児島市出身の絵師です。薩英戦争や戊辰戦争で従軍しており、さまざまな経験が作品に奥行きを与えているのかもしれません。東岳の思いが感じられる本作を、11月29日(日)までの「秋の所蔵品展」でぜひご鑑賞ください。