学芸員がオススメする美術館の逸品を紹介します。
学芸員オススメ! No.99市立美術館の逸品
【市立美術館】 電話番号:099-224-3400
ファクス:099-224-3409
当館のエントランスホールにあるひときわ大きな本作は、一見女性像に見えますが、よく見ると顔立ちは男性のようにも見えます。なぜこのような作品が生まれたのでしょうか?
制作者は、南フランスのバニュルス出身の彫刻家、アリスティド・マイヨールです。1861年生まれの彼は、パリの国立美術学校で絵画を学び、ボナールやドニなど前衛的な芸術家とともに画家として活動し、その後、タペストリー制作に取り組みますが、視力が低下し、40歳ごろに彫刻家へと転身します。
彫刻家としてのマイヨールは普遍的な美を追求し、力強くおおらかなフォルムの女性裸体像による表現で、数多くの作品を制作しました。
本作は、フランスの革命家オーギュスト・ブランキの記念碑として、彼の故郷から依頼されたものです。マイヨールは、ブランキが30数年にわたる投獄で感じた束縛感や自由への強い意志を、彼が得意とした女性像を通じて表現しました。完成当時、その独創的な表現は多くの人々を驚かせました。